前回の最後で書いた「人権」思想。
「人間は全能だから、人間が人間を自己統治することもできるという考え方も
含まれています」ということ。
唸るだけではなく、後から何度もため息をついた。
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検査と治療の「アンバランス」を、「星のアレンジをしている」神さまが、
「自分勝手に死さえも制御できると思いあがった人間たちに課している試練」と
入院中の癌患者は言う。
考えれば、検査と治療の「アンバランス」のようなことは「イタチごっこ」。
「全能」の人間はいつかは問題を解決し、また新たな問題を迎えるけど、いつかは
それを解決し、またまた新たな問題を迎える。
(こういうのも人間の「宿業」?)
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前々回の佐野洋子さんの言われるように、月は「見るもの」だとあらためて思う。
それに佐野さんが引用した良寛の言葉、「死ぬ時節には、死ぬがよく候」
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ここから本題。南木佳士さんのことでもう一言。
(本の終わり、南木さんの、同じく医師でありながら作家でもある加賀乙彦さんとの対談での言葉)
「この若造が、60年、70年という人生経験のある人の幸福だのを云々できるのだろうかと…。」
もちろん「若造」というのは著者本人のこと。
ほんとうに誠実な人だ。
(もし病院で死ぬことになるなら、南木医師のような方が主治医であってほしい。
最新医療でなくても、たとえ医療ミスがあったとしてもかまわない)
夏草に 汽罐車の車輪 来て止まる 山口誓子