カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2023.11.21 『中高年ブラック派遣』

派遣労働」のカラクリ、闇がとてもわかりやすく描かれた社会派ドラマ

ガラパゴス』がことしの2月、NHK放送され、反響が大きかったのか、

この秋、再編集されてまた放送された。

 

派遣労働」の本質は「ピンハネ労働」。

それがわかっていても、いまの世の中ではスマートで紳士的なので、認められ

許されている。

 

『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』  中沢彰吾・著

 

(グーグル画像より)

 

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1986年、それまで労働者保護のためずっと禁止されていたピンハネ労働」が、

経済界の「高度経済成長の時代は終わった」「より効率的な雇用必要な数の

労働力を気軽にいつでも供給でき、必要なくなれば合法的に切り捨てられる)国際的な

競争力強化」との強い要請で、派遣労働」の名で解禁され、労働者派遣法」が

成立した。

成立する前から強い反対の声があり、成立後の派遣労働の拡大が危惧されたが、

一旦できたものは「改正」「改正」で拡がっていく。

 

成立時のきわめて専門的な職種に限られたものが、10年後の1996年には対象職種が

大きく拡大され、それからわずか5年後の2004年には製造業務にまで拡がった。

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私は2006年に入院していた。

そのときのこと-

毎日、部屋を掃除してくださる清掃員。

病院直属ではなく外部委託、特定の清掃会社に任された人たちだと思っていた。

(清掃員の方はその清掃会社の社員なのか、人材派遣会社に登録され、派遣先がたまたま

この清掃会社、仕事先この病院だったのかはわからない

「成立時のきわめて専門的な職種」どころでなく、清掃や警備だけではなく

いまや「委託」「人材派遣」はさまざまな職種に食い込んでいる

 

あるとき、入院で知りあった患者さんの娘さんがその病院の会計事務で働いて

おられることを知ったが、「娘は派遣なんです」と苦笑いされた-

(よく図書館に行くけれど、そこの司書さんも、派遣ではなくても臨時職員、アルバイトのような

非正規労働の人がほとんどだと後に知って驚いた

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時代と社会が移り変わり、働き方も多様になったこととして、

派遣労働」は新たに働き方の選択肢が増えたこととして、

自分にとって都合のいい働き方ができる。

気軽・手軽に仕事(お金)を求めるのには、人材派遣会社はいろいろな働き先を

いつでも用意してくれ、助かる。

面倒な職安《ハローワーク》より便利感じる人は多くいるのだろう。

若い、未来のある者には一時の「腰かけ」として「ピンハネ」されようが平気なのだろう)

しかし、条件がつく。福祉と労働環境さえしっかりまもられていれば。

 

しかし実態は、「同じ穴の貉」同士の(人を「材料」としか見ない)派遣会社と

け入れ側の企業、事業者。

(両者は派遣労働者の犠牲の上にウィンウィン、ツーツー関係で成り立っている)

 

             


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この本は題名にあるように、同じ派遣労働でも中高年層の人たちの派遣ラック

奴隷的労働を告発している。

 

著者中沢彰吾さんは元毎日放送のアナウンサー、記者だった方で、ご自身の都合で

毎日放送の方は退職され、いまはルポライターとして活躍されている。

本はご自分の派遣労働実体験に基づいて書かれているので、とてもリアルで

生なましい。

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少ない年金しか収入はなく(もちろん財産といえるようなものは何もなくても)

貧乏ではあっても、それなりの生活が成り立っている私のような者はマシだが、

経済生活を支え、維持するために、とっくに70は過ぎている人たちが、

この夏のような酷暑のときも、真冬の強い北風が吹きすさぶ中も、

交通整理の紅白の旗を振り、建設などの工事現場の保安員に立たざるを得ない。

こんな世の中、完全に間違っている!

 

〈オマケの話〉

先日、『デジタルファシズム』という本を読んでいて、その中に、世界一のキャッシュレス国家

スウェーデン日本は「現金大国」らしい)では個人的な貯蓄(いわゆる「タンス預金」を含め)が

少ないとのこと。

イザというとき、非常時に備えてわが身は自分で守る(→「自己責任」)ことしなくても、

国がちゃんと守ってくれる(国民は政府を信頼し、税金を正当に納める)。

こんな安心があるのなら、もっとお金を使う。

《いまテレビドラマで『ゼイチョー』というのがあります。税金について考えさせてくれるドラマを

私は初めて見ました。とてもいいです》

 

 

 

 

 

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                              ちりとてちん

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