カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2024.8.13 『生きなおすのにもってこいの日』(中)

今日も二つの話です。

 

  「同じ穴のムジナ

支援を目的にした支援は、ほんとうに被支援者を食い物にしていく。

そういう構造が出来てしまうのであって、誰が悪いということではない。

すべての人間が善意であっても構造が悪を生みだす。

就労を支援することが、このNPOの目的だからだ。目的が就労支援だから就職支援をする。

就職以外の選択肢については触れない、それは目的の外だから。

誰が悪いというのでもないが、支援を目的にしていると、だんだんと支援者の方が主役になっていく。

支援する者は善であり正義であり、支援者はいつも正しくて、支援される方がへりくだっていなければ

ならなくなる。…支援どころではない。…恐ろしい

 

火の鳥』の言葉

感情に振り回されることと、感情をじっと感じることは違うと思う」

死ぬことは忌むべきことではなく、生まれるのと同じように人間の人生に寄り添っている。

そして、たいがいの人は死ぬ瞬間まで、とってもいっしょうけんめいに、生きている。

たとえ自殺したとしても、それは死にたいからではない、苦しさから逃れて生きるために懸命に

自我を消そうとした結果なのだ。

人は「因縁の網目がんじがらめの存在だから、どのような悪いことも、その人が望んで

そうなったというよりも、そうなる因縁のなかにいたことに気がつかなっただけなのだ。

世の中には本質的な善も悪もないのだ。

人を呪うも自分を呪うことと変わらず、呪った者も呪われた者も気づかぬままにそのような方向へと

自分が向いてしまっていた

 

    


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同じ穴のムジナ

 

就労支援」に限らず、弱い立ち場にある人を援けるというNPOなどの活動自体が

被支援者を食い物にしていく…構造が出来てしまう」ということ。

自分の体験からもほんとうにそうだと痛感した。

(何に対しても当てはまることだが、そもそも何のための《この場合》就労支援」かということを

絶えず自己点検しないと、いつの間にか本末転倒《「支援者の方が主役」といういびつな》「構造が

出来てしまう」。

それが問題なので、確かに「誰が悪いというのでもない」といえるかもしれないけれど、

そうともいえないでものもある(と、私は思う)。

ずっと昔《NPOはまだ存在しなかった頃》ボランティアのような社会活動をしていたとき、周りには

「自分たちは正しいこと、正義を行っている」という雰囲気プンプンの人たちが大勢いた。

私はそれがすごく鼻についてイヤだった。

《ならばそういうのを批判し変えればいいのに、コトは面倒くさく、それ以上に勇気のない私は

その団体をやめた。つまり逃げたのだった》)

 

     


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火の鳥』の言葉

火の鳥というのは手塚治虫の漫画です)

 

田口さんのお兄さんは若くして(青年時代)自殺した。

この限りなく悲しい事実を納得し、受けいれるために七転八倒の苦悩をした。

火の鳥大きな救いになったらしい。

 

初めの「感情に振り回されることと、感情をじっと感じることは違うと思う」は、若者の自殺が多い

ということで、友人と語り合ったとき、自殺した若者に熱くなる行き過ぎた同情?》友人に対して

田口さんの思ったこと。

その後の引用文は、兄のことを念頭に、自殺について火の鳥助けられながら思考したことが

述べられている。

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私の実家があるところは昔も今もほとんど変わらない片田舎。

父の兄弟姉妹は十人だが、叔父と伯母の二人が自殺。近所でも顔見知りの人がお二人自殺。

どちらも私が子ども、若いときのこと。

遠い過去とはいえ、自殺は身近に感じられた

 

著者は、自殺する人の気もちを深く想像し、考えた。

死にたいからではない、苦しさから逃れて生きるために懸命に

自我を消そうとした結果なのだ」と、ご自分なりの答えに行き着き、納得する。

そして、

人は「因縁の網目がんじがらめの存在だから、

どのような悪いことも、その人が望んでそうなったというよりも、

そうなる因縁のなかにいたことに気がつかなっただけなのだ。

世の中には本質的な善も悪もないのだ。と。

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自殺をこんなふうにとらえる見方を私は初めて知り、教わった。

死にたいからではない、苦しさから逃れて生きるために懸命に

自我を消そうとした結果

そうなる因縁のなかにいたことに気がつかなっただけ

 

 

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                          ちりとてちん

たてよこに 富士のびてゐる 夏野かな  桂 信子

 

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