カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2023.10.6 伝統や文化

■ 法に触れさえしなければ(合法的なら)何をしようとかまわない風潮

(弁護士の仕事は《訴訟の内容によってはそこに倫理はあるのか?と首をかしげることがあろうと》

相手を論破し勝訴すること

弁護士に欠かせない能力は、詭弁としかいえない論理《屁理屈》を弄しても、カネを払ってくれる

クライアント、お客さんの利益を守ること

 

■ 人間としてのプライド、矜持が不要な社会が到来しつつあるような

アメリカではトランプのような人物が大統領になったし、現在、裁判中であって再び大統領を

目ざしている。

トランプは通常の広告・宣伝、パフォーマンスに努める選挙戦術だけではなく、新しい戦術として

時代の先端技術、ネットやスマホsnsツイッターメディアうまく活用して勝利した。

そう考えると、トランプ大統領の出現は、あくまでも現代という時代だからこそ可能だった出来事、

現象であり、「時代の産物」だと思う

 

■ いじめや虐待の増加、犯罪の質の変化。

(日本でいじめや虐待が増えたことは、行政などの取り組みが高まり、一般への周知が強まった結果

発見、通報が増えたということもあるが、「オレオレ」などの詐欺の出現、増加とともに、背後には

道徳・倫理感、意識が大きく後退した「社会的空気」みたいなもの、雰囲気があるのでは)

 

いまの世の中、社会のことでパッと思いつくこと三つ、上に■で書いてみた。

人の心、内面のあり方・状態が、昔とはちょっと変わってきている気がする。

 

「変化」は何にでも当てはまることだから、あたり前といえばあたり前だろう。

が、ため息が出た。

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ところで、違法なことはせず、それなりのプライドを持っていきている普通の、

一個人の人生はどうだろうか。

 

昔に比べれば知識・情報も増え、技術も進み、「自由」になることは増えた。

したがって、選択肢は増えた。

増えたけれど、その恩恵にあずかろうとしたら、先立つもの、

ある程度自由に使えるお金がなければならない。

 

すべての人の素質には「無限の可能性」がある、と子どものころ聞いた

けれど、素質に「無限の可能性」があるかどうかはやってみなければわからない。

やれたとして、開花したならば「あった」、開花しなければ「なかった」(または

「努力不足」「不運」)で終わる。

(「やれる」とは可能性開花のための挑戦ができることで、ある程度の財力と理解がある家に

生まれなければならない。開花のチャンスにも恵まれなければならない。

ここでも「誕生」「開花のチャンス」という運・不運がつきまとう)

 

そういうことを他人が気安く「不運」「あんたのせい」と言い、

その人の「自己責任」に帰しては決してならないと思う。

 

       


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ネオリベラリズム」の何でもかんでも「自己責任」にしてしまうことに対し、

著者は伝統や文化(いわゆる「大きな物語」)の大切さを強調される。

伝統や文化は、大文字の他者A」《AはBでもなんでもよく、意味はないとも表現される)

 

「〈大文字の他者Aの衰退する社会

大文字の他者A」が不安定になると、コミュニケーションは閉じがちになる。

社会的に共有された制度としての儀礼が揺らぎ、個人的にウィットなどで儀礼的問題を処理するなどの

ばらつきが出てきて、制度として成立しなくなってくる。

そうすると、私たちは、相手を信頼できるか、どのレベルでコミュニケーションを進めるか、

トラブルが起きたらどうするかなどを制度に頼らず、個人の力で処理なくてはならない

 

上の引用では「社会的に共有された制度としての儀礼」が述べられているけれど、

儀礼も一つの具体例である「伝統や文化」は、知らず知らずのうち(私たちがとくに

これといって意識しなくとも)働いている。

 

根本的に大事なことは、人と人とを繋ぐ、人間関係を支えるコミュニケーション

(言葉だけではなく、身振り手振り、「暗黙の了解」のような非言語を含めて)は社会の基本で

伝統や文化」というものは洗練された社会的に共有されたものだということ

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ある社会は、ある大文字の他者A安定して働いていること、つまり、

ある人々にとって共通の伝統や文化(「価値観」)が前提とされていてこそ

成り立っている。

 

目や耳で感じ、味わえる形としての伝統や文化は日本にはいっぱいあるけれど

そうではない(たとえば「お互いさま」「一寸の虫にも五分の魂」など地球全部に自慢できる

伝統や文化」)形のない空気のような大文字の他者A安定して働いている

といえるだろうか。

 

 

 

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                              ちりとてちん

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